近年、日本でもコーチングが広まっており、コーチングを学びたい方も増えてきたのではないでしょうか。上司やリーダーとしてマネジメント力を高める、チームや部下の目標達成を支援する、自分へのセルフコーチングに活かすなど、コーチングを学ぶニーズは多様です。そんなコーチングを学びたいニーズが増えるにつれて、どうやってコーチングを学んだらいいのか、何から始めれば良いのか、迷ってしまうかもしれません。コーチングを学ぶ方法の中で、まずは手軽に思える、本を読むことから始めたいと考えている人も多いのではないでしょうか。そこで、本記事では、まずは本を読むところから始めたい人のために、お勧めの本と、本からコーチングを学ぶ際の効果的な方法をご紹介します。なお、コーチングのお勧め本はすでに知っている!という方にもお役に立つように、コーチングと直接関係しないけれども間違いなく役に立つ本もご紹介します。1. コーチング関連の本が増えているからこその悩みコーチングの人気が高まるにつれて、コーチング関連の書籍も増えてきました。大きな書店では「コーチング」のコーナーが設けられています。Amazonなどのオンライン書店でも、「コーチング」と検索すれば多くの書籍がヒットします。たくさんの選択肢があるということは、迷いも増えるということです。実際、コーチングを学ぼうと思って本を探しても、選択肢が多いゆえに、さらに悩んでしまうかもしれません。選び方としては、まずは入門者向けのシンプルな本から入るという手もありますし、スキルよりもマインドを重視してコーチングの世界観を知るという方法もあります。いすれにしても、具体的なやりとりや事例が掲載されたものがわかりやすいでしょう。そして、どの本から手を付けていいかわからない場合は、読書候補リストを作って、バランスよく読み進める方法がおすすめです。2. コーチングを学びたい人向け読書リストの作り方コーチングを書籍から学ぶための読書候補リストを作る際のコツは、コーチングに関する本だけでなく、人間理解そのものを一歩深める書籍もリストに入れることです。コーチングはコミュニケーションのための方法ですから、コミュニケーションに関する知識やスキルを得ることで一定程度は上達します。しかし、コーチングは、あくまで「人」と向き合うもので、コーチングを本当に学んで身に着けたいならば、「人」そのものを深く理解する態度や深い知見が欠かせません。コーチングを学びたいなら、ぜひ、人間理解を深める、自分の世界を広げてくれる一冊を読書候補リストに加えてみてください。では、リスト候補として、お勧めの書籍を挙げていきます。3. コーチングに関するおすすめの書籍2冊まずはコーチングそのものに関する書籍をリストに挙げましょう。入門書として、こちらが読みやすいです。『コーチング (ライトワークスビジネスベーシックシリーズ)』出版社:ファーストプレス著者:山田淳子、井上将司www.amazon.co.jp/dp/4903241343著者のひとりは国際コーチング連盟マスター認定コーチMCC資格者で、コーチングの基礎を、スキル別に説明しています。人が本来もっている能力を、最大限に引き出すために、どのようなアプローチがよいのか、オーソドックスに説明されており、初心者になじみがいいでしょう。また、それぞれのスキルに具体的な会話例が付いていて、わかりやすいです。なお、具体的な会話例では、コーチングそのものというよりも、ビジネスのシーンを想定した会話が多く取り上げられていますが、一般的な相手との会話(コーチング的でなく、あまり、気づきが得られない会話)とコーチング的な会話との違いがうまく対比されています。この対比でコーチングの理解が進みますし,コーチングが仕事を含めた日常の中で活かせることもよくわかる本です。これからコーチングを学びたい人や、初学者の人、会社でのメンバーを育てる立場にある人にもおすすめしたい一冊です。コーチングを学びたい人におすすめのコーチングに関する本の2冊目はこちらです。『コーチング・バイブル(第4版)―人の潜在力を引き出す協働的コミュニケーション』出版:東洋経済新報社著者:ヘンリー キムジーハウス著/キャレン キムジーハウス著/フィル サンダール著/ローラ ウィットワース著/CTIジャパン訳歴史を持つコーチング教育機関であるCTIによるもので、コーチングを学ぶ人たちに古くから読まれてきた本の一冊でしょう。特徴は、コーチングのいわゆるノウハウ本ではなく、やや抽象的な概念やマインド、コーチの在り方について詳説されている点です。見えるものだけでなく、見えないものを大事にするコーチングに触れる本といいましょうか。なお、抽象的とはいえ、質問の具体例もかなり載っていますので、コーチングを学ぶなら、一度は手に取ってみるといいでしょう。どちらかというと、物事を、世界観から理解したいタイプの方におすすめです。4. 実在したコーチの生き方から学べる本また、コーチングのスキルの本だけでなく、実在したコーチの生き様から学べる本もあります。コーチングを学びたい人は、コーチとは一体どんな人生を生きているのか、という点に興味が湧くかもしれません。もちろん、コーチによってクライアントとのかかわり方は様々ですが、実例をもとにした書籍は、コーチングを学びたい人にとって、大きな刺激になるはずです。実在したコーチとクライアントの活き活きとした関りをドキュメンタリー風に描いた書籍がこちらです。『一兆ドルコーチ シリコンバレーのレジェンド ビル・キャンベルの成功の教え』出版社:ダイヤモンド社シュミット,エリック〈Schmidt,Eric〉/ローゼンバーグ,ジョナサン〈Rosenberg,Jonathan〉/イーグル,アラン【著】〈Eagle,Alan〉/櫻井 祐子【訳】www.amazon.co.jp/dp/4478107246ビル・キャンベルは、シリコンバレーで活躍した著名な一人のコーチです。クライアントには、スティーブ・ジョブズ(Apple創業者)、ラリー・ペイジ(Google創業者)、エリック・シュミット(マイクロソフトCEO)など、シリコンバレーを舞台に成功と実績の歴史を築いた人物がたくさんいます。クライアントへのインタビューをもとに、優れたコーチの在り方や考え方、具体的なやりとりまで、詳しく伝える伝記的な書籍といえばこの一冊が代表格でしょう。彼のコーチングを受けたクライアントとの熱いエピソードが満載で、どこから読んでも興味深く読めます(とはいえ、ぜひ冒頭の、彼の葬儀シーンから読んでいただきたい)。コーチングを学びたい人なら、ビル・キャンベルという優れたコーチの姿を通して、自分らしいコーチ像はどんなものなのか、考えるきっかけにもなります。コーチングを志す人だけでなく、誰かと一緒に働くすべての人にとって、生きる指針となり得る良本。チームと個人の関係やリーダーシップについてもたくさんの学びがあります。コーチングの一般的な原則とは少し離れたかかわり方も展開されますが、それはビル・キャンベルという人物の個性として受け止める方が良いかもしれません。いずれにしても、手ごたえのある読み物としてかなりおススメです。なお、コーチングの基本概念や原則、学ぶ意味やポイントについては、コーチングとは?コーチングの意味やポイント、学ぶ方法の記事で詳しく解説しています。5. 人間理解をさらに深めるための書籍3冊コーチングとは直接関係しないけれど、もう1歩、人間理解を深めるという意味で,コーチングに役立つ本も3冊ご紹介します。まず一冊目はこちら。『空が青いから白をえらんだのです ―奈良少年刑務所詩集― (新潮文庫) 文庫』。出版社:新潮文庫刊著者:寮美千子/編https://www.shinchosha.co.jp/book/135241/奈良少年刑務所内のプログラムの一環として行われていた「詩」の授業。そこで、受刑者たちが講師の童話作家と共に、自己の複雑な内面を、たどたどしくも言葉にしていく変容のプロセスが、実際の詩の作品と共に描かれています。人が生きることの厳しさ、難しさ、環境の重要さ、そして、人の可能性を信じる意味など、奥深い滋養がじわじわと読み手に湧いてくる感じ、詩集ならではの味わいです。トピック コーチングを学びたい人に詩集をおすすめする理由コーチングを学びたい人にとっては、少年刑務所の詩集を読むことと、コーチングの学びとはどう関連するのか不思議に思われるかもしれません。ここで、コーチングを学びたい方に伝えたいことがあります。それは、そもそもコーチングとは「クライアントが自分の内面を表現する過程を支援する行為」だということです。人が心の内側に起きることを、そのまま言葉にして表現することは、実は簡単ではありません。だれしも、自分の内側にある思いを、うまく言葉にできなかった経験はないでしょうか。そんな自分がもどかしくて、イライラしたり、悲しくなったりしたこともあるかもしれません。あるいは、言いたい言葉は内側にあるけれども、それを何らかの理由で口に出せず、ぐっと閉じ込めたことも、一度はあるはずです。人が心の内側を表現することは、そんなに簡単ではないのです。コーチングでは、コーチはクライアントの話を聴き、質問やフィードバックなどをします。クライアントはそれに対して、自分で考え、言葉にして、セッションが進んでいきます。さて、このコーチングの流れはなぜ成立するのでしょうか?それは、コーチの働きかけによって、クライアントが、自分の心の内側を表現してくれるから。その表現がなされてこそ、コーチングは初めて成立するのです。当然のことのようですが、これはとても大事なことです。表現するのが難しいような心の内側をなんとか言葉に表現していく,それをコーチが心から支えることで,クライアントの中にいろんな変化が生まれます。例えば,混とんとしていた心が整理され,ざわざわした迷いが気づきに変わり,そして,新しい決意や希望が生まれてきます。それこそが,コーチングの本質です。もちろん,コーチングでは,言葉の無い時間,沈黙タイムもあります。それは,クライアントの内省の時間であり,クライアントが自分自身と向き合っている時間です。それを大切にしながら共にいることで、次第に心の内面が、言葉(時には言葉以外のものもあり得ます)になって表現されてくるわけです。ですから、沈黙の時間も含めて、コーチは、クライアントの表現を支援しているのだということができます。結局のところ,クライアントの表現を支援することは,どんな時でもコーチの重要な役割なのです。さて、書籍の話に戻ります。少年刑務所詩集は、少年刑務所に入った少年たちが、自分の内面を表現するために四苦八苦する姿が描かれています。内側に湧きおこる様々な思いや苦痛、複雑な感情を、言葉で表現することが難しかった人たちの姿がそこにあります。そして、それを詩の形で表したときの思わぬ変化や、その四苦八苦へのまわりの大人たちの優しい眼差しも、書籍の中では添えられています。このような表現の支援過程は、意外と目にすることがないものであって、貴重なドキュメンタリー的要素を備えた本とも言えます。詩という、独特の表現方法を通じて、心の内側に焦点をあてることの価値や、それを表現することの難しさ、それを支援することの意味について、大いに考えさせられます。コーチは表現の支援者だという観点で、この本は、コーチの引き出しを増やす、たくさんの気づきをもたらしてくれるはずです。司法に関わる人にもおすすめなお、本コラム筆者は、プロコーチでもあると同時に弁護士でもあり,司法に関する本をこれまでたくさん読んできました。その中でも、この本は、弁護士をはじめとする法律家にも一読の価値ありだと思います。法律家は,いわゆる被害者,加害者の立場にある人にしばしば関り,さまざまな支援をします。そして,被害者・加害者の立場になるということは,いわば,人生の非常事態です。そんな時に、自分の心の内側に向き合うのは、とても難しいことです。非常事態では,自ずと言葉が失われ,自分の内面に向き合うことさえも困難になります。言葉を失った人にどう関わるのか。どう支援するのか。支援とはいったい何なのか。そんな観点を、詩という(いわば,法律とは真逆とも思える)手法を通じて、考えることができる点で、弁護士など法律家にも手に取っていただきたい本です。薄い文庫本で、たくさんの作品が優しいコメントと共に味わい深く並んでいる構成、それなのに、あっという間に読めるところもお勧めポイントです。コーチングを学びたい人がもう一歩人間理解を深めるお勧めの本2冊目はこちら。『居るのはつらいよ: ケアとセラピーについての覚書 (シリーズ ケアをひらく)』出版社:医学書院著者:東畑開人こちらは,臨床心理界隈で有名な東畑開人氏著。沖縄でのデイケア施設勤務時代のエピソードをもとにした,ドキュメンタリーでもあり小説でもあります(第19回大佛次郎論壇賞受賞)。本の説明には「感動のスペクタクル学術書!」とあり,確かに,研究と現場,ドキュメンタリーと小説,病理と友愛,出会いと別れ,など複数の視点が交錯するスペクタクル(壮大・壮観な)一冊です。中でも,施設に来なくなってしまう,ある登場人物と著者とのエピソードは秀逸。「居る」ことの難しさ,本当に人を支えるとはどういうことなのか,支援者の心構えや行動におごりはないか,など,あちこちから気づきのタネが飛んでくる展開です。コーチングを学びたい人なら,ぜひ,初学の段階で手にとっていただきたく,その価値は十分にある1冊です。もちろん,コーチングの学びが進んでいる方、すでにプロとしてのコーチ資格をお持ちの方にも、視点が変わるポイント満載で、抜群の読みごたえがあるでしょう。3冊目はこちらです。『ウェルビーイング』日経文庫出版:日本経済新聞出版著者:前野隆司、前野マドカ言わずと知れた,日本の幸福学ウェルビーイング研究の第一人者,慶応義塾大学前野隆司教授と前野マドカ氏の著書。ウェルビーイングという大きなテーマについて,現時点でもっとも包括的にわかりやすくまとまった教科書的な一冊といえるでしょう。ウェルビーイングというと,いろいろな定義がありますが,いずれにしても,人が「良い状態」であることを指しており,言い換えれば主観的な幸福度が高い状態です。では,なぜコーチングを学びたい人にとって,ウェルビーイングの学びが役に立つのか。実は,この本でも紹介されている通り,米国などさまざまな研究によってコーチングは幸福度を高める効果的な方法の一つであることがわかっています。ウェルビーイングとコーチングは密接な関係にあるのです。そして,コーチングを学びたい人は,クライアントや自分が関わる人が,幸せであってほしいと願っているのではないでしょうか。また,周囲だけでなく,コーチングを学ぶ自分自身も,ウェルビーイングであることを大事にしなければなりません。コーチングを学びたいなら,ウェルビーイングについて知っておくことは大いに役立つはず,そのためにお勧めの一冊です。6. 【日本初】弁護士のためのコーチング本もご紹介ここで、著者自身が共著で執筆したコーチング本もご紹介します。『弁護士業務の視点が変わる 実践ケースでわかる依頼者との対応42例 コーチングの基本と対応スキル』(日本加除出版)です。出版:日本加除出版著者:木葉文子、大門あゆみ、中原阿里、波戸岡洸太この本は、現役の弁護士でありプロのコーチでもある4名の弁護士が、コーチングの視点を取り入れた依頼者対応の実践的な事例を豊富に紹介する一冊です。日本で初めて、弁護士がコーチングについて書いた本でもあります。弁護士などの法律家はもちろん、さまざまな立場で相談を受ける人たちが、相談者や依頼者、クライアントとの関係をより良いものにするための具体的なスキルや考え方を学ぶことができるように描かれています。コーチングスクールで学ぶ理論を実践の場面でどう活かすのか、実は幅広い活かし方があります。例えば、会社での管理職がメンバーへのコーチングを実施することもあれば、学校の先生が生徒とのかかわりでコーチングを活かすこともできます。医療者が患者さんや医療スタッフ同士との関係を改善したり、夫婦親子などの家族関係や、パートナーシップでのコミュニケーションの質を高めるためにもコーチングは有効です。この本は、法律を軸に書いた本ですが、読者の方の現場の状況に合わせて、いろいろなスキルやメソッドをつかんで活かせる可能性があります。ぜひ一度お手に取っていただければ幸いです。7. 「積ん読」を気にせずまずは手に取ろうコーチングを本で学びたい人向けの読書候補リストとして、合わせて7冊をご紹介しました。ただ、リストをつくったら、一度に詳細に読みつくそうとはせず、ちょっと気になった本を手に取って数ページ読んでみてください。それだけでも、コーチングの世界観や関連分野に触れる扉を開くことになります。その扉は、ぜひ気軽に開けてみてください。逆に,「この本を読まないといけない」という気持ちが強くなると,なぜか義務感が伴って本を読むのが億劫になったり,結果として「積ん読」が増えて心の負担になるかもしれません。筆者は「積ん読」を悪いことだとは思いませんが,コーチングを学びたいと感じているなら,心惹かれたトピックや自分のイメージに合った本をリストに入れて,気軽に手に取ってみることをお勧めします。そして,本を手に取るなら,その時間をできるだけ有効に使っていただきたい。そのために,おすすめの読書方法があります。8. 読書でコーチングを学ぶときのコツどんなことでも,何かを学ぶときの最重要ポイントは,受け身ではなく,自分が主体的であることです。例えば,学校の授業でも,先生の話をなんとなく聞いて,黒板を眺めているだけでは,あっという間に時間が過ぎてしまい,結果的に学びは薄くなりがちです。これが受け身的な学び方です。逆に,気づいたことや自分の考えを書き取り,疑問が出てきたら手を挙げて質問をすれば,理解が進みます。また,学んだことを後から復習すると,記憶の定着も進みます。せっかく学んだことを忘れずに積み重ねていけるわけです。これは自分を育てたり、自分の能力を開発するための重要なスキルとも言えます。さらに,それをほかの人たちと話す機会を持てば,互いに疑問を出しあったり,意見を聴いて対話が生まれ,圧倒的に思考が進みます。これが,主体的な学び方です。対話型の学びは,大きな成長につながるのです。このように,同じ学びでも、受け身か、主体的かの姿勢を変えるだけで、全く学習効果が異なってくるのです。これは,読書も同じです。そして,受け身的な読書を,パッシブ(受け身)・リーディングといいます。一方で,主体的な読書のことを,アクティブ・リーディングと呼びます。アクティブ・リーディングでは,次のことを実践します。読みながら気づいたことがあればすぐにメモを取る疑問が起きたらそのままの疑問を書き出す具体的な場面では,自分だったらどうするかを想像する学んだことを,誰かに話してシェアするそのことについて,意見をもらうなどして対話してみる1冊の本でこれだけの使い方ができれば,大きな学びが得られるはずです。お値段以上の学びになることは間違いないでしょう。さらに,コーチングの力をつけたいのであれば,上記に加えて,「書いてあることを日常で実践してみる」ことが何よりも重要なコツです。本に書かれている聴き方を意識するとか,質問例を試してみるなど,実際にやってみることが一番の気づきにつながります。学びを,本の中から自分自身の内側や習慣に落とし込むわけです。何をやってみるかは自分で選んでよいのです。何か一つでも自分で選び、やってみること。これが自分を磨く大きな一歩です。そのうえで,もう一度書籍を読んで振り返りができれば,コーチングを学びたい人にとっての,最高のアクティブ・リーディングといえるでしょう。9. コーチングを本で学ぶメリットとデメリットを整理ここで、改めて、本でコーチングを学ぶ場合のメリットをデメリットをまとめておきます。(1)メリット一般的な基本情報が得られる 本の良さは、一般的で幅広い情報を提供してくれる点です。本によって内容は異なるとはいえ、コーチングや人間理解についての基本的な知識を得るには適しているでしょう。信頼性が高い 市場に出版された本は通常、出版社の編集や経ており、信頼できる情報を提供していると考えられます。特に、古くから読まれている本は,信頼性が高いと言えるでしょう。自分のペースで学習できる 本を読むことは、自分のペースで進められます。コーチングを学びたいと思っても,すぐには時間をとれない場合もあるでしょう。そんな時に、忙しいスケジュールに合わせて,いつでもどこでも学べる点は大きなメリットです。(2)デメリット情報が古い可能性どんな学びも日進月歩、古い情報が活かせないこともあります。本は、改訂版を経たとしても,基本的には,出版当時の知見が掲載されているはずです。コーチングも人間理解も,どんどん進化していますから,本で得られた知識が最新の知見に基づくかどうかは,よく判断する必要があります。とはいえ,コーチングは,テクノロジーやインターネット技術分野に比べると,変化の速度や質が異なることは明らかです。コーチングは本から良い知識を得られる可能性が高い分野です。インプットした際の疑問をその場で解消できない何かを学習すると,疑問が湧いてくるときがあります。疑問が湧いてくることは,主体的に考えている証拠。その疑問を解消する過程が,一番の成長ポイントにもなります。ところが,本では,せっかく沸いたその疑問をその場で解消することは難しく,モヤモヤが残ってしまい,いつしか流れてしまいがちです。その点はデメリットのひとつです。実践が不足する本では理論的な面が強調され、どうしても実践的なスキルの習得には限界があります。知識を得たいのであれば,本でもよいのですが、コーチングを学びたい人は、学んだ知識を実生活やコーチングセッションにおいて、実際に使えるまでになりたいと考える人が多いでしょう。とすると、本だけでは実践面で不足する点がデメリットです。実践したときのフィードバックが得られないアクティブ・リーディングを実践すると,本で学んだことを実際にやってみることになります。その時に,その実践がどうだったのかその過程と成果についてフィードバックを受けることで飛躍的に成長できます。アクティブ・リーディングのスタイルならば,実践までは進めますが,その後のフィードバックは,本からはどうしても得られない部分です。知識だけでなく,コーチングの力をつけたい人にとっては,フィードバックが得られない点が本のデメリットといえます。これらのメリットとデメリットを考慮したうえで,本から得られるものはしっかり学びとりましょう。特に、基本的なところは本を活用してコーチングの学びを進めることも可能です。そのうえで、さらに本格的にコーチングを学びたいと思ったら、実践的に学べる講座やスクールなどを検討してもよいでしょう。また、本格的にコーチングを学びたい方は、こちらの記事をご覧ください。コーチングを学ぶ最適の方法は?自分にあう学習法やスクールの選び方を紹介10. コーチングを学ぶための本まとめここまで、本を通じてコーチングを学ぶ際のコツや、お勧めの読書候補一覧のリストについてお伝えしました。コーチングは、部下やメンバーの育成、子育て、自分へのセルフコーチングなど、幅広く活用できる一生モノのスキルですから、人生に一度は学んでほしいものです。その学びの最初の扉として、本を活用することはとても有益です。ぜひ、ご自身の読書候補リストを作って、アクティブ・リーディングでコーチングの学びの扉を開いてみてください。そして、本を読んでコーチングをさらに学びたいと感じたなら、スクールに進む道も検討候補に挙がってくるでしょう。ラッセルウェルビーイングコーチングカレッジでは、ウェルビーイングのためのコーチングを学べるアカデミックなプログラムをオンラインで提供しています。質の高い内容をお届けしていますので、コーチングを本格的に学びたくなったら、ぜひ当カレッジの扉もノックしてみてください。著者プロフィール中原阿里:ICF国際コーチング連盟プロフェッショナルサーティファイドコーチ(PCC)、弁護士、公認心理師、上級心理カウンセラー、ラッセルウェルビーイングコーチングカレッジ代表、CLARIS法律事務所代表弁護士、法務博士。奈良女子大学英文科英語英文学科卒業、関西学院大学大学院司法研究科修了、米国イェール大学Science of Well-Being Course修了。弁護士として活動しつつ、2019年ウェルビーイングのためのアカデミックなコーチングスクール「ラッセルウェルビーイングコーチングカレッジ」を設立。創立以来講師を務め多くのコーチを育成しながら、上場企業からNPO法人、大学、裁判所、弁護士会まで幅広い対象にコーチング研修を提供。現役の弁護士かつプロコーチとしても多数のクライアントを支援する。著書に「弁護士業務の視点が変わる!実践ケースでわかる依頼者との対話42例 コーチングの基本と対応スキル」(日本加除出版)など。最終更新日 2025年2月11日■関連記事・コーチングとは?効果や意味、メリット、学び方をプロコーチがくわしく解説・コーチングを学ぶ最適の方法は?自分にあう学習法やスクールの選び方を紹介・コーチングの効果的な勉強法は?学び方やおすすめのスクールの選び方について・【コーチングの質問とは?】質問の具体例をまとめた保存版リスト|避けるべき例も紹介・質問の価値を高めるコーチングスキル傾聴とは?NG例もあわせて解説・ウェルビーイングコーチングプログラムについて■人気記事・【2025年】国際コーチング資格取得について:特徴や選び方をまとめて解説・メンタリングとコーチングはどう違う?プロコーチが徹底解説・【GROWモデルとは?】コーチングの質問の型とすぐに使える具体的な質問例もあわせて紹介・コーチングの学びに自己理解が大切な理由とは?重要性と方法を解説