コーチングは、個人の成長や目標達成を支援するコミュニケーション手法です。コーチは、質問やフィードバックを通じて、クライアントが自分自身の強みや課題を認識し、明確な目標に向かって進むプロセスを支えます。コーチングセッションを通じて、クライアントは自己理解を深め、結果的に、行動を変化させることができます。本記事では、そのような行動促進を支援するコーチングセッションの流れと、その効果について詳しく解説します。1. 今、なぜコーチングが必要なのか現代社会では、仕事や人間関係、人生の選択において悩みを抱える人が増えています。そんな中で、自分の軸を見つけ、理想の姿を実現するための方法として「コーチング」が注目されています。コーチングは、問いを用いてクライアントの思考を整理し、感情や気持ちに寄り添いながら、自然な気づきを促すコミュニケーション手法です。2. コーチングとは?特徴と目的コーチングの基本的な考え方コーチングとは、クライアントが自分自身の課題や目標に向き合い、行動を変えるための支援を行うプロセスです。コーチは、質問やフィードバックを通じて、クライアントの思考を引き出し、自己理解を深めるサポートをします。コーチングでは、答えを教えるのではなく、クライアントが自ら答えを見つけることが大切にされます。コーチングの対象と活用場面コーチングは、個人だけでなく企業や組織でも活用されています。部下との関わり方に悩む管理職、キャリアに迷う若手社員、チームのエネルギーを高めたいリーダーなど、さまざまな状況で利用されています。最近では、zoomを用いたオンラインコーチングも一般的になり、場所を選ばずに体験できるようになりました。コーチングセッションの重要性コーチングセッションの重要性は、クライアントが自分の目標を明確にし、達成に向けて前進できるよう支援することにあります。セッションを通じて、クライアントは自分自身の強みや課題を認識し、具体的な行動計画を立てることができます。コーチは、クライアントに質問を投げかけたり、フィードバックをすることで、自己理解を深め、モチベーションを高めます。また、コーチングは、一回だけではなく、定期的にセッションを行うことが重要です。コーチとクライアントは、セッションの度に、目標達成の進捗を確認し、必要に応じて軌道修正をして、確実な行動促進や変化を目指します。2. コーチングセッションの流れ具体的なコーチングセッションの流れは、クライアントの目標やニーズに合わせて柔軟に進行しますが、一般的には次のようなステップが含まれます。1.セッション前の準備と日程調整コーチングセッションを受ける前には、クライアントとしてはw現在の状況や悩みを整理しておくと、より充実した時間を過ごしやすくなります。コーチによりますが、一般的には日程は柔軟に変更可能で、オンライン・対面の選択もできることが多いでしょう。初めての方には、無料体験セッションの利用がおすすめです。コーチ側は、クライアントに対してコーチングとは何か十分に説明を行い、たとえばコンサルティングやカウンセリングとの違い、原則としてアドバイスはしないこと、また、守秘義務などの重要な点について十分にクライアントに説明しましょう。また、コーチ自身もセッションに良い状態で臨めるように心身を整えておく必要があります。2.セッション開始後の流れ:まずはアイスブレイクコーチングセッションの最初にアイスブレイクを行うことで、クライアントの緊張をほぐし、リラックスした状態でセッションを始めることができます。軽い会話や簡単な質問を通じて、信頼関係を築くことにもつながるので、アイスブレイクは有効です。これにより、安心して話せる場が生まれ、自然に自分の気持ちを話しやすくなります。3.前回とセッション間のふりかえり 前回のセッションから今回のセッションの間にふりかえりを行うことは、クライアントの進捗を確認するために重要です。クライアントと一緒に、前回設定した目標に対してどのような成果や課題があったかを振り返ります。これにより、クライアントは自信を持って次のステップに進むことができ、継続的な変化を実感できます。4.GRROOWWモデルアイスブレイクとふりかえりが終わったら、いよいよコーチングセッションのGRROOWWモデルに入ります。GRROOWWモデルは、ラッセルウェルビーイングコーチングカレッジが独自に用いているコーチングの型です。基本的には、GRROOWWモデルに沿って、コーチングセッションを進めていきます。大枠としては以下の通りです。G テーマ・ゴールの設定R 現状確認R 資源を探すO 支障と向き合うO 行動の選択肢W 未来の創造W 自己決断 このモデルは、クライアントの思考を段階的に整理し、行動へとつなげるための構造です。各ステージでは、問いを用いて深い気づきを促します。各ステージで聞くべき質問など、くわしくはこちらの記事をご覧ください。【GROWモデルとは?】コーチングの質問の型とすぐに使える具体的な質問例もあわせて紹介5.クロージングGRROOWWモデルを一通り終えたら、クロージングに入ります。クロージングの内容は、セッション全体の振り返り、今日のセッションテーマを達成できたか、話残したことはないか、などを確認します。また、コーチからの承認や支援の表明をすることも重要なプロセスです。この最後の時間で、しっかりとクライアントの今日の成果や感情を振り返り、次回に向けた課題や希望を共有します。必要に応じて、個別のフォローも行う場合があります。3. セッションで気をつけるポイント本セクションでは、コーチングセッション中に気をつけるポイントについて解説します。1.常にゴールに沿って展開する これはとても重要なポイントです。通常の会話とコーチングセッション内での会話との大きな違いの一つが、ゴールの有無です。通常の会話では、ゴールは固定されておらず、会話内容が移り変わっていくものですが、コーチングセッションには必ずゴールがあり、そのゴールに沿って、すべてのGRROOWWモデルの質問が展開していきます。たとえば以下のような質問が、ゴールに沿ったものです。そのことは今日のゴール〇〇に照らしてどんな意味がありますか。今日のゴール〇〇において、達成度はどれくらいですか。質問がゴールからぶれてしまうと、コーチがなにを質問していいかわからなくなったり、いまどのステージの質問をするべきなのか、わからなくなってしまいます。つまり、コーチングセッションでは、すべての問いがゴールに結びついていることが大切です。コーチが迷ったときにも、「この話は今日のゴールにどう関係していますか?」と問うことで、軸を保つこともできます。コーチは、クライアントと一緒にゴールを明確にし、セッション中は常にそのゴールを意識して進めていくことが第一なのです。コーチは、クライアントとともに、必ずゴールを明確にして、セッション中は常にゴールを意識して質問をしていきましょう。2.セッション途中でゴールが適切か確認するさきほど、ゴールを常に意識することについて解説しましたが、セッションの途中でゴールの変更も可能です。もし、コーチがこのまま同じゴールでセッションを進めていいか迷ったときは、必ずクライアントに確認しましょう。たとえば以下のような質問が該当します。ここまで話してどうですかこのテーマのままで進めますか コーチングは、コーチとクライアントが共同しておこなうプロセスなので、コーチ一人の独断でセッションを進めず、必ずクライアントに確認しながらセッションを進めていきましょう。ポイントは、ゴールは絶対に固定的なものではなく、常にクライアントの気持ちを確認しながら柔軟に対応することです。4. コーチングの効果:変化と気づきコーチングは、個人の目標達成や自己成長をサポートするプロセスです。クライアントの思考を整理し、行動を変えることで、さまざまな効果が期待できます。(1) 自己理解の深化コーチングを通じて、自分の価値観や強みを知ることができます。これは、仕事や人間関係において、自分らしく生きるための土台となります。感情を言葉にすることで、頭の中が整理され、納得感のある選択ができるようになります。クライアントの自己認識と自己理解が深まる点は、コーチングの大きな価値と言えるでしょう。(2) 目標達成と行動の継続コーチングは、明確で具体的な目標設定をサポートし、その達成に向けて一歩一歩進むための計画を立てる手助けをします。コーチは、目標に向かう過程で直面する障害について一緒に乗り越える方法を考えたり、使えるリソースについて探索したりなどして、具体的な行動をできるように支援します。これにより、クライアントは目標をより確実に達成できるようになります。また、悩んだ時にはコーチングの中で、クライアントが自ら新しい視点を発見し、うまく進める道を考え出します。そうやって、新たな視点から行動の選択肢が増えていきそれを実行することでまた新しい前向きなエネルギーが生まれます。こうして行動が継続することで、クライアントは大きく目標達成に近づき、自分らしいあり方を楽しめるようになっていきます。(3) モチベーションと自己効力感の向上コーチングは、クライアントが自分自身の力を信じることを促し、自己効力感を高めるプロセスでもあります。内的な動機付けを引き出し、クライアントが自分の価値観や情熱に基づいて行動できるようになることで、持続的なモチベーションが保たれ、目標に向かって前進し続けることができます。また、セッションを通じて自分の感情や気持ちに気づくことで、内側からエネルギーが湧いてきます。これは、毎日の生活を充実させ、幸せを感じるための原動力になります。自信を持って行動できるようになることで、クライアントは自分のウェルビーイングのための理想の姿に近づいていきます。5.コーチングでよくあるテーマの例コーチングを身に着けることで、実際に、悩みを抱える人に寄り添い、その人の望む状態への変化を促す力を身につけることができます。ここでは、コーチングを通じて支援できる課題感や悩みと、それに対してどのようなアプローチが可能になるのかを、よくあるテーマの例としてご紹介します。1.仕事の悩み:部下との関わり方が分からない仕事をしながら、部下や同僚、時には上司とのかかわり方に悩む人は非常に多いものです。仕事そのものよりも、職場の人間関係のほうが悩ましいという人も少なくありません。コーチングでは、こうした課題感もしばしばテーマとなります。自分がどんな感情を抱えているのか、本当はどうありたいのか、思考や感情の整理を通じて、部下や上司など職場の人間関係を改善する方法を見つけます。人間関係は人の人生に大きな影響を与えます。セッションを通じて、人とのかかわりに向きあうクライアントを支えることができれば、コーチとしても充実感は大きいでしょう。2.キャリアの迷い:今の仕事が自分に合うのか不明「やりたいことが分からない」「転職すべきか悩んでいる」などの問いも、人がしばしば抱える悩みです。コーチはこうしたテーマの時も、あくまでクライアント自身がどうありたいのか、じっくりと内省したり、自由に制限をかけずにしなやかに発想する場を提供してサポートをします。クライアントは、自分の興味や価値観を知ること、ついつい制限をかけてしまう自分の思考を開放することで、納得のいく選択ができるようになります。なお、現状の悩みや迷いを言語化することは案外と難しいことです。コーチングセッションにおいて自分の悩みを広く深く言語化することで、本当に抱えている課題感や、ありたい状態が描くことができます。それによって、一歩を踏み出す力やきっかけが得られるという流れは、コーチングで実際によくあることです。キャリアに関する悩みは、実際にコーチングセッションでよく扱われるテーマのひとつといえます。3.自信のなさ:挑戦したいが怖くて進めないやってみたいことや挑戦したいことがありながら、なかなか一歩が踏み出せないという人も世の中には多いものです。そこには、「無理かもしれない」「失敗したらどうしよう」といった不安や恐れが存在しています。そんなときにも、コーチングの力は大きく発揮されます。安心して話せる場所で、自分の可能性を十分に感じること、否定されることなく、自分の思いや挑戦した先を語る場所は、何よりもクライアントを勇気づけ、承認する力を持っています。そうした勇気を得ることで、クライアントは自分の生きたい道を一歩ずつ進みながら、変わっていく自分を感じます。こうした変化や前進の感覚は、その挑戦だけでなく、クライアントの人生そのものに対する自信や安心感をもたらす点で、とても価値が高いとも言えます。6.コーチングスクール選びコーチングを身に着けるには、しっかりとした学びを得るのが良いでしょう。最近は書籍や無料のセミナーなども充実していますので、まずは、自分に合った学習方法を選ぶと良いでしょう。また、本格的に学びたい方は、コーチングスクールで学ぶ方法が最適でしょう。コーチングは体系化された、学問の側面と実践の側面があるので、その両方を習得することで成長が加速します。なお、ラッセルウェルビーイングコーチングカレッジは、「ウェルビーイング」を冠する日本で唯一のICF国際コーチング連盟による公式認定コーチングプログラムを提供しています。「ウェルビーイングをつなぐ」をテーマにしており、少人数制で、国際プロコーチから直接安心して学べる環境が整っています。プロコーチ資格や国際コーチ資格の取得もできるウェルビーイングのための本格的な講座です。本格的なコーチングを学びたい方、コーチングで人生を豊かにしたい方は、ぜひウェルビーイングコーチングプログラムのページをご覧ください。7. コーチングセッションまとめ本記事では、コーチングセッションの流れと、コーチングの効果について、解説してきました。コーチングは、クライアント自身が答えを見つけるプロセスであり、クライアントの持続的な成長やチャレンジを支援するものです。その効果は人生やキャリアのさまざまな面で活かすことができるものであり、単なる悩みや疑問を解決するだけでなく、人生を大きく変える可能性を秘めています。ラッセルウェルビーイングコーチングカレッジでは、ICF認定の質の高い教育を受けながら、自己成長とともに他者をサポートするスキルを身につけることができます。独自のコーチング手法と少人数制の指導を通じて、実践的なスキルを磨き、目標達成に向けた確かなサポートを提供できるコーチへと成長できるでしょう。ぜひラッセルウェルビーイングコーチングカレッジでコーチングを学び、対人支援のスキルを身につけましょう。監修者プロフィール中原阿里:ICF国際コーチング連盟プロフェッショナルサーティファイドコーチ(PCC)、弁護士、公認心理師、上級心理カウンセラー、ラッセルウェルビーイングコーチングカレッジ代表、CLARIS法律事務所代表弁護士、法務博士、ウェルビーイング経営アドバイザー。奈良女子大学英文科英語英文学科卒業、関西学院大学大学院司法研究科修了、米国イェール大学Science of Well-Being Course修了。インタビュー記事はプレジデント、ライフシフト、産経新聞など多数。弁護士として活動しつつ、2019年ウェルビーイングのためのアカデミックなコーチングスクール「ラッセルウェルビーイングコーチングカレッジーRussell Well-being Coaching Collegeー」を設立。創立以来講師を務め多くのコーチを育成しながら、上場企業からNPO法人、大学、裁判所、弁護士会まで幅広い対象にコーチング研修を提供。現役の弁護士かつプロコーチとしても多数のクライアントを支援する。著書に「弁護士業務の視点が変わる!実践ケースでわかる依頼者との対話42例 コーチングの基本と対応スキル」(日本加除出版)など。最終更新日 2025年9月23日■関連記事・【GROWモデルとは?】コーチングの質問の型とすぐに使える具体的な質問例もあわせて紹介・コーチングとは?効果や意味、メリット、学び方をプロコーチがくわしく解説・コーチングの効果的な勉強法は?学び方やおすすめのスクールの選び方について■人気記事・【コーチングの質問とは?】質問の具体例をまとめた保存版リスト 避けるべきも紹介・質問の価値を高めるコーチングスキル傾聴とは?NG例もあわせて徹底解説・ICFコーチング資格の難易度比較|ACC・PCC・MCCの取得要件と実践のポイント・ICF認定コーチングスクールとは?取得できる3つの資格も合わせて紹介・コーチング資格は必要?いらない?資格がいる人・いらない人の違いを徹底比較!・ウェルビーイングコーチングとは:意味や資格について徹底解説・コーチング学ぶのと受けるのどっちがいい?―学ぶ効果と意味を徹底解説―