エゴグラムは、自分の性格や行動パターンを客観的に理解できる診断ツールとして、多くの人に利用されています。最近では、ビジネスの場面にも活用されており、聞いたことがある方も多いかもしれません。そこで、本記事では、エゴグラムがどのような診断ツールであるか、5つの自我状態の特徴や、エゴグラムを理解するメリットについて詳しく解説します。1. エゴグラムとは?エゴグラムとは、アメリカの精神科医エリック・バーンが提唱した交流分析(Transactional Analysis, TA)をもとに、ジョン・M・デュセイが体系化した自己分析ツールです。人の心の状態を「5つの自我状態」に分類し、行動や思考のパターンを可視化することで、自己理解を深めることができます。エゴグラムは、幼少的の親、あるいは親的な立場の人との関わりが心理状態の大きく影響するという前提にたっています。単純な性格診断ではなく、自己理解のための技法ともいえます。現在ではコミュニケーションの改善、コーチングの現場など幅広い分野で活用されています。エゴグラムを通じて自分の特性を知ることで、より良い人間関係を築き、成長につなげることができます。2. エゴグラムの5つの自我状態5つの自我状態は、それぞれ外部に出している心的エネルギー量を表しており、CP(批判的/支配的な親)、NP(養育的な親)、A(成人・合理性)、FC(自由な子ども)、AC(順応する/しない子ども)にわけられます。それぞれの特徴について、下記で詳しくみてきましょう。CP(批判的/支配的な親):ルールや厳格さを重視する・教育的に相手の成長や安全を本気で考えて導く行動・厳しく叱ったり非難して相手の力や可能性を低く見積もる行動NP(養育的な親):思いやりや優しさが強い・心から相手を思いやり世話をする行動・過保護・過干渉で、相手の力や自立心を損なう行動A(成人・合理性):冷静で論理的に判断する・冷静かつ論理的に分析し、判断する行動・感情に流されにくく冷静だが、感情表現は控えめFC(自由な子ども):創造的で感情を素直に表現・自由な発想を持ち、感情豊かで未来に希望を抱く純粋な子どものような行動・自分の気持ちに正直で、思うままに行動しがちAC(順応する/しない子ども):周囲に適応しようとする・親の期待に応えようとする(または応えない)行動のパターン・親の期待に従わない行動を、「反抗的な子ども」として捉える考え方もある3. エゴグラムを理解することで得られるメリット(1) 自分の思考・行動パターンを理解できるエゴグラムは自分の思考や行動パターンを可視化するものなので、自分がどのような状況でどのような反応を示すかを理解する一助となります。そのため、無意識のうちに繰り返している行動を論理的に理解でき、より効果的に自分自身をマネジメントできるようになります。(2) 人間関係の改善につながるエゴグラムを理解することで、自分だけでなく、他人の思考や感情を理解する手助けにもなります。相手の行動はあのエゴグラムに結びついているのかと理解できると、衝突や誤解が軽減し、より良い関係性を築けるようになります。4. ラッセルウェルビーイングコーチングカレッジでのエゴグラムの位置づけラッセルウェルビーイングコーチングカレッジでは、自己理解を非常に大切にしています。コーチングをする上で、コーチが自己理解を深めておくことは、クライアントに対して適切な問いをたてるために最も重要なことだからです。そのため、自己理解の一助となるエゴグラムをベーシッククラスのプログラムに取り入れています。具体的には、ベーシッククラスの第3講座で、エゴグラムを扱います。受講生の方は、無料でエゴグラム診断を受けることができ、自分の思考や感情、行動パターンを客観的に知ることができます。また、授業内のコーチングワークを通して、他者との違いを認識し、コーチングスキルを育んでいきます。5. まとめエゴグラムは、自己理解を深め、思考や行動パターンを可視化するための強力なツールです。自分自身の特性を把握することで、より良い人間関係を築き、成長を促進できます。ラッセルウェルビーイングコーチングカレッジでは、エゴグラムを活用したコーチング学習を通じて、受講生が自己理解を深め、他者理解を育む手助けをしています。コーチングを学ぶ上で、自己理解は欠かせない要素であり、エゴグラムを使うことで、さらに効果的なスキルを身につけることができます。監修者プロフィール中原阿里:ICF国際コーチング連盟プロフェッショナルサーティファイドコーチ(PCC)、弁護士、公認心理師、上級心理カウンセラー、ラッセルウェルビーイングコーチングカレッジ代表、CLARIS法律事務所代表弁護士、法務博士。奈良女子大学英文科英語英文学科卒業、関西学院大学大学院司法研究科修了、米国イェール大学Science of Well-Being Course修了。弁護士として活動しつつ、2019年ウェルビーイングのためのアカデミックなコーチングスクール「ラッセルウェルビーイングコーチングカレッジ」を設立。創立以来講師を務め多くのコーチを育成しながら、上場企業からNPO法人、大学、裁判所まで幅広い対象にコーチング研修を提供。現役の弁護士かつプロコーチとしても多数のクライアントを支援する。著書に「弁護士業務の視点が変わる!実践ケースでわかる依頼者との対話42例 コーチングの基本と対応スキル」(日本加除出版)など。最終更新 2025年3月15日■関連記事・コーチングとは?効果や意味、メリット、学び方をプロコーチがくわしく解説・コーチングを学ぶ最適の方法は?自分にあう学習法やスクールの選び方を紹介・【コーチングの質問とは?】質問の具体例をまとめた保存版リスト|避けるべき例も紹介・【2025年】国際コーチング資格取得について:特徴や選び方をまとめて解説・ウェルビーイングコーチングとは:意味や資格について徹底解説・コーチに向いている人とは?ーコーチングの特徴と習得すべき3つのスキルを解説ー■人気記事・ー2025年版ー【プロコーチが選ぶ】コーチングの学びにおすすめ本7冊と効果的な学び方とは・【GROWモデルとは?】コーチングの質問の型とすぐに使える具体的な質問例もあわせて紹介・コーチングの学びに自己理解が大切な理由とは?重要性と方法を解説