知人のすすめでラッセルコーチングカレッジのセミナーへ。ビジネスコーチングではなく,人のしあわせやウェルビーイングを目指したコーチングに惹かれて,受講を決めた赤木さん。受講してみて,どのような発見があったのか,お伺いしたインタビューの後半です。「仕事の割合を8割も減らすことに不安はなかったですか?」大いにありました。仕事に割く割合を減らしたら,業績も下がるだろう,きっと半分以下に下がるだろうと思っていました。それでも,今自分が向き合うことは何なのか,コーチングの中で明確になっていたので,迷わず選択しました。そして,方法論にこだわらずにとにかくやってみることもコーチングでは大事にします。行動の価値を評価するんですね。私も,方向性は見えていたので,とにかく取りかかりました。そして,いざやってみると,不思議なことに業績は逆に伸びたんです。この点も自分にとって気付きになりました。自分の違和感に向き合って,コーチングの中で気づきと学びが得られて本当に良かったです。プライベートコーチングも違和感の正体への道しるべ体験として印象に残っているのが,阿里先生のプライベートコーチングです。コーチングの中で,もうちょっと主人が経営者としてしっかりしてくれたら,私は家庭にエネルギーを割けると思っていることを阿里先生に話していたら,最後に阿里先生が「ご主人はお元気ですか?」っておっしゃったんですね。その時に,「え?」と本当に驚きました。そういえば,主人が元気か,あるいは幸せかなどを考えたことがなかったことに気が付いたんです。阿里先生の一言で,主人という自分とは違う人が存在して,彼にも幸せに感じるものや,願望があるんだ,彼は仕事で成功することなど望んでいないのではないかとその瞬間に気づいて,ぽかんとしました。その後,自分のエネルギーを家庭に配分しだしたというのは,あの一言がすごく大きかったんです。私がずっと感じていた違和感の正体は,仕事の業績は伸びつつも,家庭のことを忘れてしまっているということだったのだと府落ちしました。「赤木さんの中で初めてご主人がどう感じているかという視点が生まれたのですね。」そうですね,そしてその先にそういえば,娘もいたなと。私は仕事ばかりして家にいない母だったので,卒業式に10分だけ参加したことがあるだけで,授業参観も入学式も運動会も一度も参加したことがありませんでした。それでも娘は文句も言わず,家庭も一見問題ないような状況でした。この,今思うと特殊な状況で,娘は何を感じて,私にどうしてほしかったのかをすごく考えるようになりました。そして,娘が突然,学校に行きません宣言をしたときに,何が起きたのかと思いつつ,大きな振り返りのタイミングをもらったと思いました。「ラッセルコーチングカレッジで特に印象に残っている講座についてお聞かせください」ベーシッククラスでは4つの講座がセットになっていました。その中でも「自己理解とリフレクション」の講座が一番印象的です。自己理解のためのたくさんのワークがあり,講義中にそれを実際にやってみるのですが,実は,いずれも講義内では自分の中での解を明確に見つけることができませんでした。その理由は二つあって,一つは,それまで仕事以外の個としての自分というものに対してきちんと向き合ってこなかったこと。もう一つは,今まで自分の中で物事の優先順位が「仕事」とはっきりしていたので,「仕事」に関しては明確な解があって,「個としての自分」には解がなく,解がないことは考えてこなかったからだと思います。それが不思議なことに,講座の後で時間が経つと,それまで向き合ってこなかった問いに対する解が,時間をかけてゆっくりと自分の中にふわふわと沸きあがってきたんです。それはどれも大きな気づきで,ああそういうことかと,とても印象的でした。「自分の中に解がないこと」に対して問いを立てることの重要さを知りました。「自己理解とリフレクションの講座では特にワークが多く,受講生同士とのシェアワークも多いですね。」はい,ワークや問いを通じて,他の受講生の方とコーチングをしあったり,気持ちをシェアすることで,他の方の深い部分に触れることができたというのも貴重な経験でした。また,この講座では,ストレングスファインダーや交流分析のエゴグラム診断の時間もあり,ひとりひとり個人分析を受けることができるんです。それを通じて,すごく当たり前のことですが,自分と他者はまったく違うということを,改めて実感しました。「その違いに気が付くことは,赤木さんにとってどんな意味を持っていたのですか?」仕事上の大きな発見につながりました。私は,企業の事業再生に関わる仕事をしています。そもそも,コーチングを受講した理由の一つはこの仕事と大きく関係していました。というのは,クライアントから依頼を受け,事業再生のスキームを完璧に組んで,そのスキーム通りに進んでいって,もう少しで再生が完了するという段階で,クライアントが計画と違う方向に暴走し,実現するはずだったのに頓挫してしまうという残念な事態を,これまでに何度か経験していました。事業再生が頓挫するということは,会社が破たんするということですから,本当に残念なことです。あれだけ完璧なスキームを組み,あと一歩で再生が完了して万事うまくいくはずだったのに,なぜ終わり際になって経営者があんな暴走を始めて破たんに向かってしまうのか,長年私の中で課題であり,なんとかしたいと思っていました。この点について,阿里先生のパーソナルコーチングとスクールでの自己分析で,はっと答えが見えた,明確に理由が分かった気がしました。わたしとクライアントの間には,物ごとの見方や組み立て方について大きな違いがあったことに気が付いたのです。例えば,課題を発見しそれに対するスキームを組む際,私の場合は,ゴールの映像がはっきり見えています。その明確なゴールに向かってスキームを立てるだけなので,その結果を常に確信しながら前に進んでいるわけです。途中でゴールを見失ったり,迷ったりすることは決してありません。これが,誰にとっても同じ,当たり前のことだと思っていたのです。人の見方,とらえ方は驚くほど違うという気付きとクライアントとの新たな関係性の構築―私の方が変わってるのかも?―ところが,どうやら私のやり方が当たり前というわけではない,世の中には,遠い先のゴールを常に見据えてその道筋を組み立てていくのではなく,とにかく目の前のことに集中して,ひとつひとつ積みあげていく人もいるのだと気が付いたのです。そして,後者の割合も結構高いかもしれない。私の過去のクライアントさんにもそういうタイプの人がいたはずです。しかし,私は一度ゴールについて話し合い,合意もしたのだから,相手にも自分と同じゴールと道筋が常に明確に見えているという前提で,いつも話を進めていました。しかし,相手からすれば,目の前の課題に集中しているうちに,ゴールも道筋もぼやけてしまって,はっきりと見えないままに進んでいたわけで。途中で迷ったり,時にはスキームを外れた行動に至るのも当然だったかもしれないと,強く思い当たりました。そこから,相手に対する説明の仕方を大きく変えたんです。「具体的にどのように変えられたのですか?」はい,ゴールから逆算して,途中にいくつかの中間地点を設けて何度も,今自分たちがどこにいるかを細かく共有するようにしました。それまではゴールも道筋も全部見えているんだから,過程の説明はいらないだろうという思い込みを改めたんです。自分では大きな変化ですね。「プライベートコーチングとコーチングクラスを受ける中で,発見があったのですね。」そうですね,まさにそのプロセスと,クリフトンストレングスや自己分析の結果を共有するのと相まって,こんなに人って違うのか!と初めて気づくことができました。自分のほうが変わってるんだなと(笑),なるほどうまくいかないはずだととても府落ちしました。「いいですね,どちらが正しい間違いではなく,人はみんな違うんだと知れることは自分も楽になれそうです。」そうですね,自分にとっても相手にとっても楽になれると思いますし,そんな当たり前のことも,きちんと自己分析をして,受講生同士で対話しながら,初めて気が付けることだと思いました。「自分だけで内省を深めるよりも,他の人とシェアすることが重要なんですね。」そうですね,とても大事だと思います。そもそも内省を深める機会も日常生活の中であまりないですし,友人や家族ともと掘り下げるのは簡単ではないです。質のいい問いや,学びの空間があってこそ,ちゃんと自己理解ができるし,まして信頼できる方とシェアするのは本当に日常には無い機会ですよね。とても貴重だと思います。「ご自身が,目指している世界や達成したいことはありますか?」仕事面でいうと,もともとは法律業界を変えたいという想いがありました。今は自分が個人としてより豊かに生きていくとう方向性にシフトしましたけど。教育が個人の資質の違いを前提としたものになっていないことへの疑問と目指す世界観そして,気になっているのは教育の在り方です。コーチングを受講して,改めて個々人の能力は高い・低いではなく,資質が違うだけだということを痛感しました。娘は中学生ですが,その学校教育を見ていると,組織人として生きていくための最適な人材を育てることに主眼が置かれている感じがします。そして,一つの価値観で,常に最適解を求められる現在の学校教育に適合できないと,こぼれ落ちてしまう構造です。しかし,こぼれ落ちたから価値がないかというと決してそういうわけではないはずです。もっと,個々人の能力や特性に応じた違いを,社会全体が積極的に受け入れていけるようになるといいなと思います。そんな社会が実現するならば,学校教育の枠組みの中,一見こぼれ落ちたように見える人も個々の能力を生かして幸せにいられるかもしれないし,社会的な損失もなくなると思います。人は違って当たり前,たとえ学校に適合できなくても,他に適合できる場所が必ずあると思える世界が理想ですね。実は,私自身も学校に適合が難しかった経験がありますが,社会人になって自営業をやってみるとまったく問題なかったんです。その反面,組織人として生きていくことには適合できない。その経験も,例えいまの学校教育のプログラムに適合しなくても,さほど気にしなくていいと思える理由になっています。教育については,これから自分ができることを真剣に考えていきたいと思っています。「ラッセルコーチングカレッジの特徴・良さはどのようなところでしょうか?」まずは,目先の利益やスキルではなく,根本的な人の幸せであるウェルビーイングを志向しているところが一番です。あとは,やはり阿里先生の知識の深さが魅力だと思います。私が今までお会いしたコーチングの他の先生は,コーチングという枠組みのなかでは色々教えていただきましたが,阿里先生はコーチング以外の領域に関してもアカデミックな見識が深いですね。例えばチームビルディング論や心理学,そして,海外の事例やエビデンスもたくさん引用してくださるので,総合的に見たウェルビーイングとはなにか,よりよく生きるとはなにかを深めることができることが大きな特徴だと思います。「どんな人やどんな課題感を持っている方におすすめですか?」すべての人ですね。働く人すべて,そして,親御さんもいいと思います。課題感としては,根本的に幸せってなんだろうと悩まれている方にお勧めですね。コーチングの単純なスキルやノウハウだけのスクールでは決してないので,アカデミックに根本的なことを探求するのが好きな方にぴったりだと思います。「受講生するにあたり,アドバイスがあるとすれば?」わたしがお勧めしたいのは,「経営者と従業者」や「お母さんとお子さん」など,何か関係性のある同士で受講することです。チームや親子など,ともに未来を創っていく組み合わせがこのコーチングスクールで受講すると,共通の認識のもとで,質のいい関係を作っていけると思います。なので,誰かが受講した後,他のメンバーが受講していくと,ウエルビーイングな関係性や働き方,人生が何倍にも広がっていくと思います。赤木さんの素晴らしい志,ウェルビーイングをつなぐ心が伝わってくるインタビューとなりました。赤木さんは,多くの人とスキームを組んで大きな事業再生をやってのける強さと,何とも言えないたおやかさ・しなやかさを兼ね備えた方,生き方の美しい方です。ウェルビーイングをつなぐインタビュー,本当にありがとうございました!